福祉型の家族信託のスキーム2

福祉型の家族信託には、①高齢者などに代わっての管理処分機能、②親亡き後・伴侶亡き後の財産承継と管理処分機能、③民法などでは対処できないケースについてニーズがあるとされています。

親亡き後の財産承継と管理処分機能とは、障害のある子どもの面倒を見ている高齢の親が亡くなったり認知症などにより判断能力が低下したりした場合であっても、信頼できる者によるその子どもの支援を可能なものとするものです。

障害のある子どもがある場合において、親が心身ともに元気なうちはその親が子どもの面倒を見ることができるので問題はないのですが、その親が高齢となり認知症などにより判断能力が低下してしまうと、その子どもへの支援が不十分なものとなってしまいます。また、その親が亡くなると、そもそもその子どもを支援する者がいなくなってしまいます。

このような場合において、法定後見(補助・保佐・後見)や任意後見による支援が考えられますが、これには課題があり十分な支援ができないとされています。そこで、家族信託を利用した支援が考えられています。

この場合におけるスキームとしては、まず、委託者をA、受益者をA及びその子B、受託者を親族Cとする信託契約を締結します。BだけでなくAも受益者とすることにより、Aは自分の財産を自分のために利用することができます。その契約の定めとして、Aの自宅、金銭その他の金融資産を信託財産とします。また、受益者代理人を指名します。これは、障害のあるBの利益を守るとともに、認知症などにより判断能力が低下したAの利益をも守るためです。そして、信託終了時の信託財産の帰属について定めを設けることにより、A及びBが亡くなった場合において、その信託財産を円滑に承継させることが可能となります。

次に、この信託契約と同時に任意後見契約を同時に締結します。信託契約だけでは、介護、医療その他生活などの身上保護に関する支援ができないからです。この任意後見契約では、委任者をA、任意後見受任者をCとします。これにより、Cは、信託財産の管理処分だけでなく、身上保護の面においても支援することができるようになります。任意後見受任者をC以外の親族(例えば、Cの配偶者D)とし、財産管理をする者と身上保護をする者とを分ける方法もあります。この場合には、A及びBの生活などに現金が必要となったときに、CがDの指示に基づいて信託財産から現金をDに渡し、それをA及びBの生活などに使用するといった方法で支援することになるでしょう。

このように、親亡き後問題を解決する方法として、任意後見契約を併用した家族信託を利用することが有用であるといえるでしょう。

(司法書士・行政書士 三田佳央)