任意後見契約の終了2

任意後見人に一定の事由があるときは、家庭裁判所は、一定の者の申立てにより、任意後見人を解任することができます。これは、判断能力が不十分な本人の保護の観点から、任意後見人の不正行為等の事実が判明した場合について、家庭裁判所に任意後見人の解任権を付与することにより、監督権の実効性を担保するためです。

任意後見人に一定の事由があるときは、「任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるとき」です。「不正な行為」とは、違法な行為や社会的に非難されるべき行為のことをいいます。例えば、任意後見人が本人の財産を横領した場合、私的に流用した場合などの財産管理に関する不正が該当します。

「著しい不行跡」とは、品行がはなはだしく悪いことをいいます。その行いが本人の財産の管理に危険を生じさせるなど、任意後見人としての適格性の欠如を推認させる場合が該当するとされています。

「その他その任務に適しない事由」とは、任意後見人の権限濫用、管理失当(財産の管理方法が不適切であることをいいます)、任務怠慢などをいいます。

任意後見人の解任の申立てができるのは、任意後見監督人、本人、その親族、検察官です。

任意後見監督人は、任意後見人の事務を監督する過程で不正行為等の不適任な事由の存在を知った場合には、家庭裁判所に対し、自ら解任の申立てをすることができます。

また、本人は、正当な事由がある場合に、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約の解除の手続を行うこともできますが、不正行為等の立証が可能な場合には、任意後見人の解任の手続を行うことにより、解除の書類の送付や終了登記の申請などの負担を回避することができます。そして、任意後見人の不正行為等の事実を手続的に明確にすることができます。

検察官も任意後見人の解任の申立てができるとされているのは、横領・背任等の不正行為について捜査・公判等の過程で検察官が事実を探知することがあり得るからです。

なお、家庭裁判所の職権による任意後見人の解任は認められていません。これは、任意後見人は任意後見契約という私的な契約により本人が自ら選任していることから、家庭裁判所による介入は必要最小限の範囲にとどめるのが相当であることと、任意後見における家庭裁判所の監督は、任意後見監督人を通じての間接的な監督であるからだとされています。

解任の審判がされると、裁判所書記官の嘱託により、任意後見契約の終了の登記がされることになります。

(司法書士・行政書士 三田佳央)