任意後見人による事務の報告

任意後見監督人は、任意後見人の事務を監督し、家庭裁判所に対して定期的に報告することを職務としています。その職務を実効的なものとするため、任意後見監督人は、いつでも任意後見人に対してその事務の報告を求めることや、任意後見人の事務や本人の財産の状況を調査することができます。また、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、任意後見監督人に対し、任意後見人に関する事務の報告を求めることや、任意後見人の事務や本人の財産状況の調査を命じることができます。

このように、任意後見制度においては、家庭裁判所は、任意後見監督人の任意後見人に対する監督を通じて、任意後見人の事務を監督するという仕組みになっています。そのため、任意後見人は、家庭裁判所に対して直接その事務に関する報告をすることはなく、任意後見監督人に対して報告をすることになります。任意後見人が家庭裁判所と直接やり取りをすることはありません。

任意後見人がその事務に関する報告を任意後見監督人に対してする際には、事務処理の状況を記載した報告書・財産目録・収支予定表・通帳の写しなどを提出することになります。この報告は、定期的にする必要があります。実務では、任意後見契約の内容として、任意後見監督人に対して「3か月ごとに報告する」などといった記載があることが多いです。この場合には、契約で定められた期間までに必要な報告をしなければなりません。この報告も、任意後見人の主要な事務です。

(司法書士・行政書士 三田佳央)