財産管理等委任契約の受任者

委任契約による財産管理等の受任者には、法律によって何らかの資格が要求されているわけではありません。したがって、家族・親族・友人その他の知人など本人の身近にいる者に委任することもできますし、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門家に委任することもできます。どのような人を財産管理等の受任者に選任するかは、本人の選択に任されています。通常は、本人が適切に財産管理等を行ってくれると信頼している者を選任しますので、本人と受任者の信頼関係が極めて重要な要素であるといえるでしょう。この信頼関係ができていなかったり、崩壊したりしたときは、財産管理等を委任したり継続したりすべきではありません。

なお、委任契約による財産管理等は個人だけでなく、法人に委任することもできます。社会福祉協議会は、日常生活自立支援事業として「書類等の預かりサービス」や「日常の金銭管理サービス」を実施しますが、これも委任契約による財産管理等の一つの形態であるといえます。

また、委任契約による財産管理等では、複数の受任者を選任することもできます。受任者に不慮の事態が生じたときに備えたい場合や、受任者への委任事項を財産管理と身上監護に分けて委任したい場合などには、複数の受任者を選任することは有用な手段であるといえるでしょう。

(司法書士・行政書士 三田佳央)