不動産に関する共有関係の解消の実務3

共有関係にある不動産について共有物の分割をすると、様々な税金が課税されることがあります。まず、譲渡所得税についてですが、現物分割において、共有持分割合に応じて分割をした場合には、課税されません。これに対し、共有持分割合を超えて分割をした場合には、課税されることがあります。共有持分割合の範囲内の分割であれば、譲渡はなかったものとして扱われるからです。代金分割の場合には、譲渡所得税が課税されます。通常の不動産の売却と同様だからです。価格賠償による分割の場合も、譲渡所得税が課税されます。共有者間で不動産の売買があったものと同様だからです。

次に不動産取得税についてですが、共有持分割合に応じて分割する場合には、原則として課税されません。これに対し、共有持分割合を超えて分割をした場合には、課税されることがあります。共有持分割合に応じて分割をする場合は、新たに不動産を取得するものではないからです。

不動産登記を申請する際に課税される登録免許税についてですが、「共有物分割」の場合は、固定資産評価額に持分割合を乗じた金額の1000分の4、「売買・交換」の場合は、1000分の20となります。現物分割をする場合に、「共有物分割」として書面を作成して登記申請をすれば、登録免許税の税率は1000分の4となりますが、「交換」として書面を作成して登記申請をすれば、登録免許税の税率は1000分の20となってしまいます。この点、注意が必要です。代金分割と価格賠償による分割の場合は、「売買」に該当しますから、登録免許税の税率は1000分の20となります。 このように、共有物分割による不動産の共有関係をするには、課税されるケースがありますので、共有不動産の分割を検討される際には、専門家に相談されると良いでしょう。

(司法書士・行政書士 三田佳央)