不動産に関する共有関係の解消の実務2

共有関係を解消する方法としては、まず、共有物の分割をすることが考えられます。共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができます。共有者から分割の請求があったときは、まず、共有物の分割について、共有者間で協議しなければなりません。この場合には、分割の方法について、特に制約はありません。各共有者の持分割合で、共有物を現実に分割して取得する方法(現物分割)、共有物を売却してその代金を共有者間で分ける方法(代金分割)、特定の共有者が共有物を取得して、他の共有者に金銭を支払う方法(価格賠償)など、どのような方法で分割することができます。各共有者の取り分が、持分割合と異なっていても構いません。共有者全員が一致すればその合意した方法に従って共有物を分割することになります。

共有物の分割方法について、共有者全員が一致しなかったときは、裁判所に共有物の分割を請求することができます。裁判による分割においては、共有者間に公平に分割をすることになるので、現物分割が原則となります。現物分割ができないときや、現物分割によって共有物の価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は共有物の競売を命ずることができます。これが民法が予定している裁判による分割方法です。ただし、現物分割では共有者間の公平性を確保できない場合や、共有物の競売をすることによって価格が低くなり共有者の利益を損なうおそれがある場合などには、民法が予定する分割方法以外の方法を認めた方が、共有者間の公平性と利益を確保することができると考えられます。そこで、最高裁の判例は、価格賠償など民法が予定していない分割方法を認めています。

(司法書士・行政書士 三田佳央)