任意後見監督人の辞任・解任

任意後見監督人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができます。

「正当な事由」としては、例えば、①任意後見監督人が仕事上の理由等のため本人の居所から遠隔地に転居しなければならない場合、②老齢・疾病・負担過重等により監督事務の適切な遂行に支障が生じた場合、③任意後見監督人がすでに長期にわたり職務を遂行しており、今後その継続を強いるのが酷と考えられる場合、④本人の親族や任意後見人等との間に監督事務の遂行に支障をきたすほどの不和等があるなどです。

任意後見監督人に不正な行為・著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、一定の者からの申立てか、または職権で、任意後見監督人を解任することができます。

「不正な行為」としては、例えば、任意後見監督人が本人の財産を横領・私的流用した場合などです。「著しい不行跡」としては、品行が本人の財産の管理に危険を生じさせる場合などです。

解任の申立てができるのは、本人・親族・検察官です。任意後見人に解任の申立てが認められるのかについては、見解が分かれています。

任意後見監督人の辞任・解任は、家庭裁判所の審判事項です。管轄は、任意後見監督人選任の審判をした家庭裁判所です。任意後見監督人の辞任・解任による変更登記は、裁判所書記官の嘱託によってなされます。

このように、任意後見監督人の辞任・解任について制限されているのは、判断能力が不十分な本人に代わって任意後見人の事務を監督するという、任意後見監督人の職責が重要だからです。

なお、辞任・解任によって任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、後任の任意後見監督人を選任することになります。

(司法書士・行政書士 三田佳央)