法定相続人情報とは

法務局が、所有者不明土地利用円滑化法に基づいて調査した結果、その法務局の管轄にある土地につき、所有権の登記名義人が亡くなっているものの、名義がそのままの状況となっており、その後も長期間にわたり相続登記がされていないことが判明したときは、法務局は、その所有権の登記名義人の法定相続人を調査します。そして、法務局は、その調査結果に基づいて、登記名義人の相続関係を一覧化した図を作成します。これを「法定相続人情報」といいます。

法務局から、「長期間相続登記等がされていないことの通知」が届いたら、最寄りの法務局において、法定相続人情報を出力した書面を無料で取得することができます。この書面を取得することにより、登記名義人の法定相続人を把握することができるので、他の法定相続人に手紙を送付するなどして、相続登記の申請の協力を求めることができるようになります。また、法定相続人情報は、相続登記の申請をする際に、相続が発生したことを証する情報として活用することができるとされています。

法定相続人情報を出力した書面を取得するには、「長期間相続登記等がされていないことの通知」に同封してある「提供依頼書」に必要事項を記入して、最寄りの法務局に提出することになります。提供依頼書の記載事項は、①依頼年月日、②依頼者の表示(住所・氏名・連絡先・現在の所有権の登記名義人との続柄)、③代理人が取得する場合は、代理人の表示(住所(事務所)・氏名・連絡先・依頼者との関係)、④提供方法(窓口受取か郵送)、⑤不動産番号及び不動産所在事項、⑥現在の所有権の登記名義人(住所・氏名)、⑦法定相続人情報の作成番号です。「長期間相続登記等がされていないことの通知」の写しを添付した場合は、⑤⑥⑦の事項の記載は不要です(「長期間相続登記等がされていないことの通知」記載されているためです)。また、本人確認書類(運転免許証等)を提示する必要があります(代理人が取得する場合は、写しを提供します)。なお、代理人が取得する場合は、併せて委任状を提出し、併せて本人確認書類(代理人が弁護士や司法書士などの場合は、弁護士会や司法書士会の会員でも可)を提示します。

法定相続人情報の取得は、法務局の窓口だけでなく、郵送でもすることができます。この場合は、返信用封筒と郵便切手を同封しなければなりません。また、返信方法は、書留郵便など受取確認ができる方法に限り、認められています。

(司法書士・行政書士 三田佳央)