死後事務委任契約における受任者の報酬

死後事務委任契約の受任者が報酬を受け取れるようにするためには、当該契約に受任者の報酬についての特約を定める必要があります。委任契約の受任者は、特約がなければ、本人に対して報酬を請求することができないからです。本人の親族が受任者である場合には、無報酬であることが通常ですが、第三者が受任者である場合(特に弁護士や司法書士などの専門家である場合)には、受任者に報酬を支払うことになるため、特約として報酬の定めを設けることになります。

報酬の支払時期は、原則として死後事務が完了した後です。ただし、期間によって報酬を定めたときは、その期間が経過した後に支払うことになります。また、死後事務が中途で終了したときには、すでに執行した死後事務の割合に応じて報酬を支払うことになります。

このように、死後事務委任契約において受任者が報酬を受け取れるようにする場合は、その契約において、①受任者が報酬を請求することができる旨、②報酬の額、③期間によって報酬を請求することができるようにする場合には、その定めを特約として定めておくことになります。

②については、死後事務全体に見合った額を定める方法、個々の死後事務に見合った額を定める方法、タイムチャージによる方法などがあります。

③については、一定期間ごとに定額の報酬を請求することができるようにする場合に定めます。死後事務が長期に及ぶことが予想される場合には、このような特約を定めておくことによって、死後事務の完了まで報酬を受け取ることができないという不都合を回避することができます。

(司法書士・行政書士 三田佳央)