死後事務委任契約において定める事項5

本人が電気・ガス・水道などの各種公共料金の契約者であった場合において、本人が亡くなったときには、これらの契約を解約する必要があります。これをしないと、料金が発生し続けてしまうからです。

これらの契約は、相続人に承継されるので、相続人がこれらの公共サービスの利用を希望する場合には、その相続人が名義変更手続をすることになります。これに対して、そのような希望が確認できない場合には、信頼できる第三者と、各種公共サービスの解約手続を死後事務とする死後事務委任契約を締結することが考えられます。本人と同居している相続人がいない場合には、解約手続をとることになるでしょう。

もっとも、各種公共サービスの提供者(電力会社、ガス会社、水道局など)が死後事務委任契約の受任者による解約手続に応じるのか、応じる場合にどのような手続を要するのかなどについては不明確な点があります。そのため、各種公共サービスの解約手続を死後事務とする死後事務委任契約の締結をする際には、各種公共サービス提供者に対して事前に確認をして、その回答が明確でない場合には、料金滞納による解約手続がとられるまで各種公共料金が発生し続けるリスクがあることを知っておく必要があるでしょう。また、この場合には、公共料金の引落口座を凍結して、料金滞納による解約とすることも検討する必要があります。

(司法書士・行政書士 三田佳央)