死後事務委任契約において定める事項3

死後事務委任契約においては、行政機関への届出等の手続について定めることができます。例えば、健康保険証や介護保険証の返却、年金に関する手続などです。

国民健康保険・後期高齢者医療保険や介護保険は、死亡届の提出により脱退します。その後、健康保険証や介護保険証を役場に返却しなければなりません。その事務を委任するために、死後事務委任契約の内容とすることが考えられます。

本人が国民年金・厚生年金を受給している場合には、死亡した事実を年金事務所に届け出なければなりません。また、企業年金・共済年金を受給している場合には、企業年金連合会やその受給している共済年金を管轄する共済組合に、死亡した事実を届け出なければなりません。その事務を委任するために、死後事務委任契約の内容とすることが考えられます。

本人が所持するパスポートは、死亡すると失効します。この場合においては、そのパスポートを遅滞なく返納しなければなりません。返納場所は、都道府県が設置しているパスポートセンターですが、自治体によっては、役場の市民課に返納することもできます。この事務を委任するために、死後事務委任契約の内容とすることが考えられます。

その他、本人の死後に、住民税・固定資産税などの税金の支払いが残る場合があります。税金の支払いが遅れてしまうと、延滞金が加算されてしまいます。そこで、税金の支払いが遅れてしまわないように、その事務を死後事務委任契約の内容とすることが考えられます。病院への医療費の支払い、介護施設への利用料の支払い、公共料金の支払いについても同様のことがいえます。

(司法書士・行政書士 三田佳央)