株式会社設立手続きにおける定款認証手続き

原子定款を作成したら、その定款について公証人による認証を受ける手続きをします。原子定款は、公証人による認証を受けないと効力を生じないからです。これは、定款の適法性を確保するための措置です。この定款の認証は、設立する会社の本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人から受ける必要があります。したがって、愛知県内に本店を所在地とする株式会社を設立する場合には、名古屋法務局に所属する公証人による認証を受ける必要があります。

公証人による認証を受けるには、まず、作成した原子定款をメールかFAXで公証役場に送付して、公証人によるチェックを受けます。その際に、実質的支配者となるべき者の申告書も併せて送付します。これは、設立する会社の議決権の総数の50%を超える議決権を有する者等が、暴力団員等該当するか否かを申告するものです。のちに金融機関等に提出することになります。また、可能であれば、発起人の印鑑証明書のデータも送付します。

公証人による原子定款のチェックが終わったら公証役場から連絡があります。修正すべき箇所があればその個所を修正して、再度公証役場に定款を送付します。修正箇所がなければ、公証役場に出頭して、定款への記名押印または電子署名したことを自認する旨を陳述すると、公証人による認証がなされます。公証役場に出頭する際には、紙ベースの原子定款・実質的支配者となるべき者の申告書・発起人の印鑑証明書・認証手数料を持参します。認証手数料は5万円台程です。電磁的記録をもって定款を作成した場合には、CD―ROM等の電磁的記録を保管する媒体も持参します。電磁的記録をもって定款を作成した場合には、公証役場に出頭する前に、その電磁的記録を公証役場に送信します。

定款の認証を受けると、認証文が入った定款を受け取ることになります。電磁的記録をもって定款を作成した場合には、認証文の入った定款のデータが記録された媒体を受け取ることになります。事前に定款の謄本の取得をを請求しておくと、請求した通数の謄本を受け取ることができます。

このようにして公証人による認証を受けた定款を使用して、株式会社の設立手続きを進めることになります。なお、発起設立においては、株式会社の成立前は、原則として定款を変更することができません。自由に変更できるとすると、公証人による認証を受けたことが無意味になるからです。

(司法書士・行政書士 三田佳央)