数次相続の場合における相続登記2

Ⅹには、妻A、長男B、長女C、次女Dがいる。Bには、妻E、長女F、長男Gがいる。Cには、夫H、長男Iがいる。Xは甲土地を所有している。令和2年4月1日、Xは死亡した。甲不動産について相続登記をしていない。令和4年12月30日、Bが死亡した。また、令和5年3月15日、Cが死亡した。この場合において、甲土地をG及びIの共有名義とする相続登記は、どのようにすべきでしょうか。

この場合、登記先例によれば、1件の申請でG及びIの共有名義とする相続登記をすることはできず、①名義人を亡B及び亡Cとする被相続人Xの相続登記をした後に、②名義人をGとする被相続人Bの相続登記、③名義人をIとする被相続人Cの相続登記を、それぞれ申請することになります(計3件)。これは、Gを名義人とする相続登記の登記原因と、Iを名義人とする相続登記の登記原因が異なるため、一つの申請書によって申請をすることができないからです。

被相続人Xの相続においては、A、D、E、F、G、H、Iが遺産分割協議をすることになります。E、F、Gは亡Bの相続人として、H、Iは亡Cの相続人として、それぞれ遺産分割協議に参加することになるからです。

①の相続登記の申請における必要書類としては、被相続人Xの出生から死亡までの戸籍謄本、A、D、E、F、G、H、Iの現在戸籍及び印鑑証明書、亡B、亡Cの除票、遺産分割協議書、固定資産評価額を証する書面です。

申請書の、登記原因及びその日付には、「令和2年4月1日相続」と記載し、申請人には、(被相続人X)と記載した後に亡B及び亡Cの住所氏名と持分を記載します。

②の相続登記の申請における必要書類としては、被相続人Bの出生から死亡までの戸籍謄本、E、F、Gの現在戸籍及び印鑑証明書、Gの住民票、遺産分割協議書、固定資産評価額を証する書面です。

③の相続登記の申請における必要書類としては、被相続人Cの出生から死亡までの戸籍謄本、H、Iの現在戸籍及び印鑑証明書、Iの住民票、遺産分割協議書、固定資産評価額を証する書面です。

これらの相続登記の申請は、連件申請をすることができます。この場合、①の相続登記を1件目、②の相続登記を2件目、③の相続登記を3件目として一度に申請をします。連件申請をすることによって、何度も申請をする手間を省くことができますし、重複する書類については1通提出すれば足りるので、同じ書類を何通も取得する必要がなくなります。

なお、上記のような数次相続における相続登記の申請で、中間の相続がすべて単独相続である場合に限り、一つの申請書で相続登記の申請をすることができます。この場合には、申請書の記載が複雑なものとならず、登記官が登記をするときに誤りが生じにくいからです。中間の相続がすべて単独相続である場合とは、相続人が一人である場合だけでなく、上記の例でいえば、Cが相続放棄をした場合、Gのみが甲土地を取得する旨の遺産分割協議をした場合も含まれます。この場合において、申請書の登記原因及びその日付には、「年月日○○相続年月日相続」と記載し、中間の相続があったことを表示します。

(司法書士・行政書士 三田佳央)