協議離婚の際に定めておくべき事項1

夫婦関係が破綻した場合には、その破綻した婚姻から当事者を解放して、生活を再建したり自立したりすることができるような仕組みが必要です。そのため、不和が生じた夫婦は、合意によって離婚して夫婦関係を解消することができるようになっています。これを協議離婚といいます。

協議離婚をするには、夫婦で離婚の合意をして、戸籍法の定めるところにより届け出ることが必要です。この届出によって、協議離婚の効力が生じます。

協議離婚の際には、未成年の子がいる夫婦においては、その一方を親権者と定めなければなりません。離婚によって共同親権から単独親権となります。親権者を定めなければ、離婚届は受理されません。

親権者の他にも、親権者ではない者と子との面会交流、養育費など子の監護について必要な事項は、協議離婚においては、その協議で定めることとされています。しかし、これらの事項について定めていなくても、離婚届は受理されます。

また、財産分与や慰謝料に関する事項についても、その協議で定めることになりますが、これらの事項について定めていなくても、離婚届は受理されます。

つまり、協議離婚においては、夫婦で離婚についての合意があり、親権者について定めておけば、他の事項について定めていなくても、離婚することができるということになります。これは、離婚しやすい反面、養育費や財産分与について協議することなく離婚してしまうと、子を引き取った一方の親(特に妻)が経済的に自立することができず、離婚後の生活と子の福祉が守られない事態に陥ってしまいます。また、面会交流について定めずに離婚してしまうと、親権者とならなかった親が、子との関わりがなくなってしまい、親子関係を築くことが困難なものとなってしまいます。

「早く離婚したい」という気持ちが先行した状態で慌てて離婚をしてしまうと、後で自分や子が経済的に苦しい状況に陥ってしまいます。協議離婚をする際には、冷静に協議して定めておくべき事項について定めることが重要です。ただ、夫婦が冷静に協議できないことも少なくないでしょうし、何をどのように決めればよいのか分からないこともあるでしょう。そのため、離婚を考えている方は、弁護士や司法書士などの専門家に、相談してみるとよいでしょう。

(司法書士・行政書士・三田佳央)