再転相続人における相続の選択の保障

被相続人Aの相続人BがAの相続について承認または放棄をしないで死亡し、Bの相続人CがBを相続した場合のことを、再転相続といいます。この場合の熟慮期間は、Cが自己のために相続の開始があったことを知った時から起算されます。Cは、Aの相続とBの相続のそれぞれについて、承認または放棄の選択をする機会が保障されなければなりません。Cは、Aの相続についてBの承認・放棄を選択する権利を承継しているからです。

Cは、Aの相続について先に承認または放棄をすることができるし、Bの相続について先に承認または放棄をすることができます。Cが、先にAの相続について承認または放棄をした場合、Bの相続には何らの影響をもたらさないので、Cは、Bの相続について承認または放棄をすることができます。

Cが、先にBの相続について承認をした場合、Aの相続について承認または放棄をするBの権利を承継するので、Cは、Aの相続について承認または放棄をすることができます。これに対し、Cが、先にBの相続について放棄をした場合、Cは、Bの権利義務を一切承継しないのであるから、Aの相続について承認または放棄をすることができないことになります。

このように、Cのような再転相続人は、相続の選択をする順序や内容によってその承継する権利義務が異なることになります。再転相続人の立場になったときは、弁護士や司法書士などの専門家に相談してから、どのような選択をするのかを考えるとよいでしょう。

(司法書士・行政書士 三田佳央)