家族信託をするには、委託者と受託者が信託契約を締結することになります。信託契約には実務上、次のような事項を定めることが多いです。①信託の目的、②信託財産の内容、③信託期間と信託終了事由、④委託者と受託者、⑤受益者及び受益権、⑥信託監督人及び受益者代理人等、⑦信託事務処理代行者、⑧信託財産の管理方法等、⑨信託財産の給付、⑩信託の変更に関する定め、⑪受益者の指定変更を行うときは、その定め、⑫残余財産の帰属権利者、⑬精算に関する事務、⑭受託者等の報酬に関する定め、などです。
①信託の目的には、信託財産を受託者が一定の目的に従って管理・処分その他必要な行為をすべき旨が定められている必要があります。②信託財産の内容としては、不動産、金融資産その他の財産の種類や特定に関する事項を定めます。③信託が存続する期間や信託の終了事由を明確にします。④委託者や受託者の住所、氏名、生年月日、権限や義務の内容、予備的受託者などを定めます。⑤受益者の住所、氏名、生年月日と受益権に関する事項を定めます。受益者は契約当事者ではありませんので、信託契約に定めることになります。⑥と⑦はこれらの者を置いた場合に限り定めます。⑧信託財産の管理や処分の方法、費用の負担などを定めます。⑨信託の目的実現のための配分(給付)の方法と給付額を定めますが、必須ではありません。⑩と⑪と⑭は任意的な事項です。⑫は信託が終了した時における残余財産の帰属権利者を定めます。⑬精算受託者や精算事務に関する事項を定めます。
信託財産に不動産が含まれている場合には、信託の登記をしなければ、その事実を第三者に主張することができません。
このように、信託契約で定める事項は多岐にわたり、また、どのように定めるかはケースによって様々なので、信託契約書の作成を検討される際には、弁護士や司法書士といった専門家に相談されると良いでしょう。
(司法書士・行政書士 三田佳央)