Aには配偶者Bと長男Cがいます。Aが自己の所有する甲土地を長男Cに相続させる旨の遺言を残しました。その遺言を残す数日前に甲土地について分筆登記をし、甲1土地・甲2土地となった場合において、その遺言の内容に基づいて甲1土地・甲2土地について相続登記をすることができるでしょうか。遺言の内容である甲土地という記載と、相続登記の対象物件である甲1土地・甲2土地との間に相違があることから問題となります。
この点について、実務では、遺言の内容どおりの相続登記の申請をすることができるという扱いがなされています。これは、登記記録によって甲1土地・甲2土地が甲土地から分筆されていることは明らかなので、甲土地をCに相続させるということは、Aにおいて甲1土地・甲2土地をCに相続させる意思を有するものと認めることができるからだと思われます。
したがって、Aの残した遺言の内容どおりに、Cを所有者とする相続登記の申請をすることができます。
(司法書士・行政書士 三田佳央)