相続した土地の国庫帰属の承認申請手続1

相続土地の国庫帰属の承認を受けるためには、承認申請をする者が、承認申請書と添付書類を法務大臣に提出しなければなりません。実際には、法務局・地方法務局の本局の不動産登記部門に提出することになります。法務局・地方法務局の支局・出張所には提出できません。

申請書には、①承認申請をする者の氏名・名称・住所、②承認申請に係る土地の所在・地番・地目・地積、③添付書類の内容を記載します。申請書の様式は、法務省のウェブサイトにあります。

添付書類として、①承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面、②承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界線を明らかにする写真、③承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真、④申請者の印鑑証明書を提出しなければなりません。

①の図面には、国土地理院地図、ゼンリン住宅地図、登記所備付地図(法務局・登記情報提供サービス)を使用します。尺度は、1/2500が望ましいとされています。

③の写真は、インターネットに表示された国土地理院の航空写真などを添付することもできます。

承認申請をする際には、審査手数料を収入印紙として申請書に貼付して納付しなければなりません。審査手数料は、土地一筆当たり14,000円です。

なお、承認申請をすることができる者は、相続または遺贈により土地を取得した相続人に限られます。ただし、土地が数人の共有に属する場合には、共有者全員が共同してするときに限り、承認申請をすることができます。この場合、共有者の中に相続または遺贈により土地を取得した相続人でない者がいても、承認申請をすることができます。例えば、被相続人と法人が共有名義の土地について相続した場合は、相続人と共有者である法人が共同して承認申請をすることができます(申請書の申請をする者の記載事項に「名称」があるのは、このためです)。

また、相続土地国庫帰属法が施行された令和5年4月27日より前に相続や遺贈によって取得した土地についても、承認申請をすることができます。そのため、数十年前に相続した土地についても、承認申請をすることができます。

(司法書士・行政書士 三田佳央)