自己破産の流れ3

多重債務者による自己破産は、通常、その債務者に手続費用に充てられるだけの財産がないため、破産手続開始の決定と同時に破産手続を廃止する決定がなされることが多いです。これを同時廃止といいます。同時廃止とされる基準は裁判所ごとに異なりますが、例えば20万円を超えるかどうかが基準とされ、その額を超えない場合には、原則として同時廃止とされます。

破産財団に不動産が含まれる場合には、原則として管財事件とされますが、その不動産に抵当権が設定されていてそれが担保割れ(オーバーローン)になっている場合、不動産があっても同時廃止がみとめられることがあります。

他方、生命保険の解約返戻金、賃貸借契約の敷金、自動車、退職金見込額などがあると、それらが破産財団に含まれて管財事件として取り扱われることがあります。

以上のような基準で同時廃止になると、その後の破産手続は行われないことになり、免責手続について別途審理がされることになります。 このように、破産手続が同時廃止として取り扱われると、破産管財人の選任や債権者への配当などが行われないため、短期間で低廉な倒産手続として処理されることになります。

(司法書士・行政書士 三田佳央)