自己破産の流れ2

破産手続が開始されると、①居住制限、②引致命令、③通信の秘密の制限、④資格制限という効力が生じます。

①破産者は、自ら申し立てて裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができません。これは、破産者に説明義務などの手続上の義務を果たさせるため、裁判所が破産者の所在を把握しておく必要があるからです。

②裁判所は、必要と認めるときは、破産者の引致を命ずることができます。破産者に説明義務を果たさせたり、破産財財団の管理の妨害を止めさせたりするためです。

③裁判所は、破産管財人の職務遂行のため必要があると認めるときは、郵便事業者に対し、破産者宛の郵便物を破産管財人に配達するように嘱託することができます。その場合、破産管財人は配達された郵便物を開いて見ることができます。破産財団に属する財産の発見のためです。通信の秘密に対する重大な制限になるが、その制限を必要最低限のものにするため、破産者は破産管財人が受け取った郵便物の閲覧や破産財団に属しない郵便物の交付を求めることができます。

④破産手続の開始により、破産者に対して様々な資格の制限がなされます。各種の法令において、公法上・私法上の観点から様々な資格について破産手続開始による制限が加えられています。公法上のものとしては、弁護士、司法書士、公証人、行政書士などです。私法上のものとしては、成年後見人・保佐人・補助人、成年後見人監督人・保佐監督人・補助監督人、遺言執行者、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の社員などです。破産者がこれらの資格を回復するためには、復権を受ける必要があります。

このように、破産手続が開始されると、債務者は破産者となり、様々な制限を受けることになります。そのため、自己破産を検討する際には、弁護士や司法書士に相談して、このことを踏まえてよく考えてから、手続をされることを推奨しています。

(司法書士・行政書士 三田佳央)