自己破産手続では、裁判所に選任された破産管財人によって破産者の財産を処分することにより換価し、それを債権者に配当して清算します。そのため、マイホームを所持している多重債務者にとっては、自己破産をすることによってマイホームを手放さなければならなくなります。そこで、そのような多重債務者において、マイホームを手放すことなく経済生活の再建を図るために利用することができる倒産処理手続が、個人再生手続です。
個人再生の主な特徴としては、①再建型の倒産処理手続、②手続の迅速性があげられます。
個人再生は、破産手続と異なり、債務者の財産を処分するのではなく、裁判所に認可された再生計画に従って返済をすることにより、経済的な再建をしていくことになります。再生計画には債務の減免や猶予などを内容として盛り込まれます。これにより、債務者の経済的に苦しい状況から抜け出して、経済生活の再建を図ることが可能となります。
個人再生は、破産手続の管財事件における破産管財人のような地位の者が選任されず、債務者自身が主体となって手続を追行することになります。また、手続に時間がかかってしまうと、債務者の経済状況が変わってしまい再建できなくなるおそれがあるため、裁判所では、手続を迅速に処理するよう運用がなされています。そのため、破産手続の管財事件と比較して迅速に処理されることが想定されています。
(司法書士・行政書士 三田事務所)