自己破産における復権とは

破産手続の開始により、各種の法令によって公法的(弁護士・司法書士・公証人・行政書士など)・私法的(成年後見人等・遺言執行者など)な観点から、破産者に対して様々な資格の制限がなされます。破産者がこれらの資格を回復するためには、復権を受ける必要があります。そのため、復権制度は多重債務者の破産における債務者更生のための重要な制度として位置づけられているといえるでしょう。

復権には、一定の要件に基づいて当然に復権の効果が生じる当然復権と、破産者の申立てに基づく裁判による復権とがあります。

当然復権の要件としては、①免責許可の決定が確定したとき、②再生計画認可の決定が確定したとき、③破産手続開始後に詐欺破産犯罪について有罪の確定判決を受けることなく10年を経過したとき、などです。実際には、免責による復権がなされることが多いです。

また、当然復権に該当しない場合でも、破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときは、破産者の申立てにより、裁判所は復権の決定をします。破産債権の全部について免責を得たのに、なお資格の制限を受けることに根拠がないからです。

破産者が復権を受けると、資格の制限を規定している各種の法令の定めにより、資格の制限が無くなります。

このように、多重債務者の破産手続においては、通常は免責を受けることができるため、資格の制限がなされても、復権を受けることにより、その資格を回復することができます。

(司法書士・行政書士 三田佳央)