債務者から債務整理の委任を受けた弁護士や司法書士は、委任を受けてから数日以内に、貸金業者などの債権者に対して、受任通知を送付します。それから1週間から1か月ほどで、債権者から取引履歴など取引状況が記載された書類がファックスまたは郵送で届きます。その書類によって債務残高や消滅時効の完成の有無などを確認します。
任意整理を希望する場合、債権者に和解を希望する旨を伝えます。和解とは、債権者と債務者の合意によって、債務残高を減免したり、返済を猶予したりすることです。和解をする場合は、債権者か債務者のどちらかが和解案を提示することになります。債権者から提示されることもあれば、債務者に提示を求めてくることもあります。和解案の内容はさまざまですが、債権者から提示される和解案としては、最低限元本の返済を求めるものや、一括返済と分割返済とで返済額に差を設けるものが多いようです。債務者から和解案を提示したとしても、結局は債権者の同意を得なければならないので、債権者が提示した場合に限りなく近い内容とならざるを得ないのではないでしょうか。
債権者と債務者との間で、和解案の合意がなされると、和解契約書を作成して署名押印をします。債務者側の署名押印については、弁護士や司法書士が代理人として署名押印するため、債務者本人の署名押印は不要です。和解契約書の作成は、債権者がすることもあれば債務者に作成を求めてくることもあります。和解契約書を作成して両者とも署名押印したら、債務者が、債権者に対して、和解契約書の内容どおりに返済をして、それが完了すると、任意整理は終了となります。 和解案の決定や和解契約書の作成については、委任を受けた弁護士や司法書士が、債務者と相談しながら、債権者と協議をして進めていくことになります。
(司法書士・行政書士 三田佳央)