原子定款には、通常、絶対的記載事項の他に、相対的記載事項や任意的記載事項を定めています。相対的記載事項とは、定款で定める必要はないが、定款で定めないと効力が生じない事項のことです。これを、定款以外で定めても効力は生じません。相対的記載事項としては、例えば、全部の株式の内容に関する事項、種類株式の内容に関する事項、株主名簿管理人に関する事項、譲渡制限株式の譲渡承認決定に関する別段の定め、株主総会の決議における決議要件に関する事項、機関の設置に関する事項などです。
任意的記載事項とは、定款で定める必要がなく、定款以外の何らかの方法で定めることができる事項のことです。任意的記載事項としては、例えば、設立時取締役の選任に関する事項、設立時発行株式に関する事項、株主の権利行使における基準日、株式会社の代表者の定め(取締役会を設置していない場合)、取締役の報酬に関する事項などが、法律によって定められています。特に法律の規定がなくても、法律の規定に反しない限り、会社の組織や運営に関する事項を任意に定めることができます。任意的記載事項は定款で定めなくてもよいが、実務では、定款で定めることが多いです。その事項を変更するには株主総会の特別決議を要することになり、取締役の一存で変更できなくするためです。
このように、定款を作成するにあたって、会社の組織や運営に関する様々な事項を決定して定める必要があります。これらを定めるには、正確な知識と深い見識が必要であるといえます。株式会社の設立を検討されている方は、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
(司法書士・行政書士 三田佳央)