人が亡くなると相続が開始します。相続が開始すると相続人は様々な手続きをすることになります。役場における死亡届の提出、火葬許可証の取得、各種保険証の返却、葬祭費の支給申請や、年金事務所における死亡届の提出、各種年金請求手続きなどです。
これらの手続きが終わりましたら、預貯金の相続手続きや相続登記手続きなど、財産の相続手続きをしていくことになります。これらの手続きに共通している点は、法律によって定められている相続人(これを「法定相続人」といいます。)を確認できる書類を提出しなければならないことです。その書類に該当するものが戸籍です。
戸籍には、本籍を同じくする夫婦とその子どもに関する情報が記載されています。具体的には、本籍、氏名、生年月日、続柄、婚姻に関する事項、死亡に関する事項、筆頭者などです。戸籍を取得するには、本籍地の役場に戸籍謄本または抄本を請求して取得します。謄本(とうほん)とは、戸籍に記載されている全員に関する事項が記載されている証明書で「全部事項証明書」といいます。抄本(抄本)は戸籍に記載されている特定の者がに関する事項が記載されている証明書で「一部事項証明書」といいます。亡くなった者(これを「被相続人」といいます。)の法定相続人を調査して特定するためには、ます、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得する必要があります。戸籍は、法改正によって新しい戸籍に切り替わることがありますが、婚姻などでその戸籍から別の戸籍に入籍した者に関する事項は、改正後の戸籍には記載されないからです。なお、実務上、現行法上の最新の戸籍を「現在戸籍(「げんざいこせき」、または、「げんこ」)」といい、改正前の戸籍を「改正原戸籍(「かいせいはらこせき」、または、「はらこせき」)」といいます。また、このときに取得する戸籍は「謄本」でなければなりません。被相続人と戸籍に記載されている者全員との関係を確認する必要があるからです。
被相続人の本籍地の役場の市民課の窓口で出生から死亡までの戸籍謄本を請求すると、その役場で取得することができる戸籍謄本を出してもらえます。転籍や婚姻によって他の本籍から変わっている場合には、転籍や婚姻前の本籍地の役場にて出生から転籍や婚姻までの戸籍謄本を取得することになります。この手続きを繰り返して、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集します。
被相続人の死亡時の本籍がわからない場合には、除票(被相続人の住民票)を本籍入りで取得することによって本籍を確認することができます。