成年後見人が行う事務には様々な手続が含まれます。
本人が障害者手帳を所持していれば、成年後見人が障害者手帳の更新手続をすることになります。
本人の国民健康保険や後期高齢者医療保険の保険証、介護保険証、各種還付金に関する書類、各種税金納付に関する書類などを確実に受け取れるようにするために、これらの送付先を変更する手続をします。これらの手続は役場の各課ごとに手続をしなければならないことが多いです。年金関係の送付先変更の手続は管轄の年金事務所にて行います。
電気料金、水道料金、ガス料金などの水道光熱費や、電気料金などの通信費、配食サービス料金など、本人に関する様々な費用を漏れなく支払いをするために、これらの費用の支払いを管理している企業や事業所に連絡して送付先を変更します。電話一本で変更できる場合もあれば、後見の登記事項証明書を送付しなければ変更できない場合もあります。
本人が介護施設に入所した場合など、本人の住所に変更が生じたときには、成年後見人が役場にて住所異動届出をします。それから本人宛の郵便物が届かなくなることを防ぐために郵便局にて転居届を出します。
本人の家族が亡くなって相続が発生して本人が相続人となった場合には、成年後見人が本人に代わって相続手続をすることになります。遺産分割協議が必要なケースでは成年後見人がその協議に参加します。この場合には、原則として、本人の法定相続分が確保されるように協議をすることになります。法定相続分の確保が難しいケースなどでは事前に家庭裁判所と対応を協議しておくと良いでしょう。
本人が多額の負債を抱えていて返済の目途が立たない場合には、成年後見人が本人に代わって裁判所に自己破産の申立てをすることになります。成年後見人自身では申立てが難しい場合には、弁護士等の専門家に手続を依頼すると良いでしょう。
このように、成年後見人の事務は多岐にわたるので、どの事務をすべきなのか事前に把握するように努めることが重要です。