土地所有権の国庫帰属の承認申請をした場合において、申請した土地について国庫帰属の承認があったときは、承認された土地につき、負担金を納付しなければなりません。負担金の額の通知を受けた日から30日以内に、負担金を納付しないときは、国庫帰属の承認は効力を失うことになります。ではなぜ、このような負担金を納付しなければならないのでしょうか。
相続土地国庫帰属制度により土地の所有権が国庫に帰属した後は、その土地の管理は、所有者である国の負担でされることになります。すなわち、国民の負担で管理されることになります。この土地の管理にかかる費用としては、通常の管理行為(看板設置、柵設置、草刈り、巡回など)の費用のほか、人件費・鑑定料・広告費・補修費などさまざまなものがあります。しかし、この制度により国庫に帰属する土地は、基本的に利用の需要がないものであり、国が永続的に管理しなければならい可能性が高く、その費用を長期にわたって国民全体の負担で賄う必要があります。他方で、土地所有権の国庫帰属の承認を受けた者は、国庫帰属がなければ負担すべきであった土地の管理費用の負担を免れることができることになります。
そこで、この制度により国が管理することになった土地に生ずる費用の一部を国庫帰属の承認を受けた者に、土地の管理の負担を免れる程度に応じて負担させることが、公平の観点から適当であると考えられるからです。
ただし、その負担金の額があまりに高額になると、この制度が利用されず、所有者不明土地の発生を抑制するという制度目的を達成することができなくなってしまいます。そこで、国庫帰属の承認を受けた者は、承認された土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額に限り、負担金として納付しなければならないこととされています。
(司法書士・行政書士 三田佳央)