相続登記の流れ4

法務局に相続登記を申請すると、登記官によりその申請について受付がなされます。この受付がされると、この申請に対して受付年月日と受付番号が記録されます。そして、登記官は、遅滞なく、この申請により提供された申請書と添付書類を調査しなければなりません。

調査の結果、不備があることが判明し、その不備が補正することができるものであるときは、申請人に対して、相当な期間を定めて補正すべき旨を通知します。主な補正の内容としては、戸籍謄本など不足している書類の提出、申請書や遺産分割協議書などの書類の誤字脱字の訂正などです。期間内に補正をしなければ、その申請は却下されます。

管轄の法務局以外の法務局に申請した場合など、その不備が補正することができないものであるときは、補正の余地がなく却下されます。

申請に不備がなかった場合や、不備があっても登記官から通知された期間内に補正をした場合には、登記官により申請した内容のとおりに登記されます。登記は、登記官が登記簿に登記事項を記録することによりなされます。登記が完了するまでの期間は、法務局により異なりますが、補正がなければ数日から1週間程度です。

登記が完了すると、法務局から書類を受け取ることになります。このときに受け取ることとなる書類は、登記完了証、登記識別情報通知書、原本還付書類です。

登記完了証は、登記官から申請人に対し、申請された登記が完了した旨を通知する書面です。

登記識別情報通知書は、申請人に対して、登記識別情報を通知する書面です。相続登記の申請人が、後にその不動産を売却したり担保を設定したりしたときに、登記名義人としてそれらの登記申請をする際に、相続登記をしたときに通知された登記識別情報を用いることになります。登記識別情報は、12桁の数字とアルファベットの組み合わせにより構成されており、登記識別情報通知書により目隠しをされた状態で通知されます。目隠しがされるのは、登記識別情報を第三者に盗み見られて悪用されることを防止するためです。

登記が完了した際に受け取るこれらの書類を、送付による受け取りを希望する場合は、申請書にその旨と送付先を記載しなければなりません。この記載がない場合には、法務局に出向いて受け取ることになります。

なお、登記事項証明書(登記簿の謄本のことです。)は、交付されませんので、必要があれば、登記が完了した後に、法務局に請求して取得することになります。

(司法書士・行政書士 三田佳央)