被相続人の法定相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集しましたら、次に、法定相続人の戸籍謄本または抄本を取得することになります。法定相続人の戸籍をどこまで取得すればよいかは、誰が法定相続人なのかによって異なります。
法定相続人が子どもの場合には、その子どもの戸籍抄本が必要です。その子どもが被相続人より前に亡くなっているときには、その亡くなった子どもに子ども(被相続人の孫)がいれば、その子どもの出生から死亡までの戸籍謄本と被相続人の孫の戸籍抄本が必要です。この場合には、本来、被相続人を相続するはずだった地位を、被相続人の孫が相続することになるからです(これを代襲相続といいます。)。
法定相続人が両親等の直系尊属の場合には、両親の戸籍謄抄本が必要です。両親の一方が亡くなっている場合も含みます。両親の双方が亡くなっている場合には、両親の死亡の記載のある戸籍謄抄本と祖父母の戸籍謄抄本が必要です。
法定相続人が兄弟姉妹の場合には、父と母の出生から死亡までの戸籍謄本、祖父母の死亡の記載のある戸籍謄抄本、被相続人の兄弟姉妹の戸籍抄本が必要です。被相続人の兄弟姉妹が被相続人よりも前に亡くなっているときには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、その兄弟姉妹の子どもがいれば、その子どもの戸籍抄本が必要です。この場合には、被相続人の兄弟姉妹の子どもが、その兄弟姉妹を代襲相続するからです。
被相続人に配偶者がいる場合には、配偶者の戸籍抄本が必要ですが、配偶者に関する事項は、被相続人の戸籍謄本に記載されているので、重ねて取得する必要はありません。
これらの戸籍謄抄本で重複する部分は1通取得すれば足ります。また、法定相続人の戸籍の取得は、被相続人の戸籍の収集と並行して進めると時間の短縮に繋がります。
このように、相続手続きに必要な戸籍が多数になることがあり、手間がかかり、正しい知識が必要となるケースがあります。相続手続きを進めるにあたって戸籍の収集などでお困りの方は、司法書士や行政書士などの相続の専門家に相談されると良いでしょう。