土地所有権の国庫帰属の承認を受けた者は、その承認された土地につき、負担金を納付しなければなりません。その負担金の算定方法は、国有地の種類ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用を考慮して政令で定めるところにより算定されます。
政令で定める分類している種類や、面積に応じた算定が必要となる地域は、次のとおりです。
①宅地は、面積にかかわらず20万円です。ただし、市街化区域や用途地域(住居地域、商業地域、工業地域など)が指定されている区域内の宅地については、面積に応じて算定されます。例えば、市街化区域にある宅地で国庫帰属する面積が150㎡の場合、負担金の額は670,500円となります。
②田畑については、面積にかかわらず20万円です。ただし、㋐市街化区域や用途地域が指定されている地域内の農地、㋑農用地区域内の農地、㋒土地改良事業等の施工区域内の農地については、面積に応じて算定されます。例えば、市街化区域にある田畑で国庫帰属する面積が750㎡の場合、925,500円となります。
③森林は、面積に応じて算定されます。例えば、国庫帰属する面積が1000㎡の場合、261,000円となります。
④その他(雑種地や原野など)の土地は、面積にかかわらず20万円です。
このように、市街化区域や用途地域が指定されている宅地や農地などについては、負担金の額が増額するようになっています。この制度を利用するにあたっては、国庫帰属の承認を申請しようとする土地の負担金の額について、あらかじめ試算してから、申請すべきかを検討することになるでしょう。
なお、具体的な算定方法は、法務省のウェブサイトの「相続土地国庫帰属制度の負担金」に掲載されています。
国庫帰属の承認を受けたときは、承認の通知と合わせて、負担金の額が通知されます。
承認を受けた者が、負担金を納付したときは、その納付をした時に、承認に係る土地の所有権は国庫に帰属します。
(司法書士・行政書士 三田佳央)