相続登記の流れ2

相続登記に必要な書類が揃ったら、登記申請書を作成します。申請書には、①登記の目的、②登記原因とその日付、③相続人の氏名・住所、④添付情報の表示、⑤申請の年月日、⑥登記所の表示、⑦代理人によって申請するときは、その代理人の氏名・住所、⑧登録免許税の額と課税標準、⑨不動産に関する情報を記載します。

①の登記の目的とは、相続登記との関係でいえば、名義人である被相続人の権利が相続人に承継されることです。これを登記簿上に表示するために、「所有権移転」と記載します。なお、被相続人が所有しているのが持分(2分の1など)の場合には、「○○持分全部移転」と記載します。

②の登記原因とその日付には、いつ相続が開始したのかを表示します。「令和○年○月○日相続」と記載します。なお、遺産分割協議によって相続した場合であっても、遺産分割協議をした日付ではなく、相続が開始した日付を記載します。遺産分割の効力は、相続が開始した時に遡って生ずるからです。

③の相続人の氏名・住所には、不動産を取得する相続人の氏名・住所を、住民票記載のとおりに記載します。また、相続人の氏名・住所の前に、(被相続人 ○○)と記載し、名義人の相続人であることを示します。

④の添付情報の表示には、相続登記を申請する際に、申請書に添付する書類を記載します。相続により所有権を取得したことを証する書類を「登記原因証明情報」と記載します。これに該当する書類としては、戸籍謄本等一式、遺産分割協議書、印鑑証明書です。相続人の住民票は、「住所証明書」と記載します。代理人が申請する場合は、委任状が必要であり、これは「代理権現証明書」と記載します。

⑤の申請の年月日は、申請書と添付書類を法務局に提出する日付を記載します。

⑥の登記所の表示は、相続登記を申請する法務局を記載します。相続登記の申請は、管轄の法務局にしなければなりません。法務局の管轄は、不動産の所在地によって定められています。管轄が異なる不動産の相続登記の申請をするには、管轄ごとに分けて申請する必要があります。

⑦の代理人として登記申請できる者は、弁護士と司法書士に限られています。相続登記の申請を、弁護士や司法書士に委任した場合には、その代理人の氏名・事務所所在地・連絡先を記載します。

⑧の課税標準には、不動産の評価額に1,000円未満の端数を切り捨てた金額を記載します。登録免許税の額には、課税標準額に1000分の4の税率を乗じた額から、100円未満の端数を切り捨てた金額を記載します。

⑨の不動産に関する情報としては、土地については、所在、地番、地目、地積を記載し、建物については、所在及び地番、家屋番号、種類、構造、床面積などを記載します。なお、不動産番号を記載することにより、所在等の記載を省略することができます。

(司法書士・行政書士 三田佳央)