夫婦の合意によって離婚をする際に、協議して定めておくべき事項は、①親権者、②養育費、③慰謝料、④財産分与、⑤面会交流などです。
①の親権者については、父母のどちらかを親権者と定めることになります。長女の親権者を父、二女と長男の親権者を母と定めることもできます。子の利益を優先して定めることが必要ですが、子の意思を尊重することも必要となる場合があります。父と母の離婚後の生活環境や子の年齢などをもとに定めることになるでしょう。
②の養育費については、父母は離婚して子と別居することになっても、親であることに変わりないことから、扶養義務に基づくものとして認められています。実務では、養育費の額をどのように決めるのかについて関心が高いといえます。
③の慰謝料については、離婚の原因となる事実を作った配偶者に対する、精神的苦痛に基づく損害賠償請求として認められています。その額は、定額化されているようです。
④の財産分与については、夫婦の共有財産がその対象となりますが、実際には、特定の財産が夫婦の共有財産に含まれるのか否かが争われることがあります。
⑤の面会交流については、子の利益を第一に考えるものでありますが、実際には、協議離婚において、面会交流に関する事項が定められたとしても、親権者となった父母の一方が、別居している他方の父母に子を合わせたくないという理由でその定めが守られない場合が生じていることが問題視されています。
(司法書士・行政書士 三田佳央)