個人再生手続における住宅資金貸付債権に関する特則3

住宅資金貸付債権の特別条項を定めるか否かは、個人再生手続の開始の段階で確定させる必要があります。そして、特別条項を定めた債権については、再生計画案に関する議決権が否定されている関係で、異議を述べることができません。また、その債権については評価の申立てをすることもできません。

住宅資金貸付債権の特別条項を定めた再生計画案は、債務者のみが提出することができます。このような条項の設定は債務者の自由な意思に基づくべきものだからです。債務者が特別条項を定めた再生計画案を提出する場合には、あらかじめ住宅資金貸付債権者と協議を行う必要があります。特別条項の計算は利息計算など複雑なものであるから、事前に住宅ローン債権者との間で十分な相談をしないと、適切な計画案を作成することが困難だからです。

再生計画案が提出されると、債権者によって決議をすることになりますが、住宅資金貸付債権については議決権が認められていません。保証会社の住宅資金貸付債権に基づく求償権についても議決権が認められていません。このような債権はその額が多額であるため、議決権を認めると実質的にこれらの債権者の同意を求めることと等しい結果となり、特則を認めた意味がなくなるからです。ただ、住宅資金貸付債権者の意見を聴くことが求められています。

特別条項を定めた再生計画案が可決された場合は、裁判所が認可・不認可の決定をすることになります。この場合における特別の不認可事由としては、①再生計画が遂行可能であると認めることができないとき、②債務者が住宅の所有権を失うことになると見込まれるとき、③債務者が住宅の用に供される土地を住宅の所有のために使用する権利を失うことになると見込まれるときです。不認可事由がないときは、再生計画案を認可する決定がなされます。

住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されると、住宅ローン債権が確定している場合には、その債権は特別条項により定められた権利変更条項に従って変更されます。それ以外の点では、住宅ローン契約の定めと同一の定めが再生計画でされたものとみなされます。この再生計画の効力は、住宅・敷地に設定されている住宅ローン債権や求償権にかかる抵当権にも及ぶものとされています。保証人や連帯債務者は、再生計画により債務者に生じた期限の利益の回復や弁済期限の猶予等の効力を主張することができます。

(司法書士・行政書士 三田佳央)