財産管理等委任契約の終了

財産管理等委任契約は委任契約の一種であるから、委任契約の終了事由の発生により終了します。

委任契約は、当事者がいつでも解除できるのが原則です。実務では、解除権を行使するのに1か月程度の予告期間を設ける特約を定めています。また、解除権を放棄する特約を定めることは可能です。

本人または受任者が死亡したときや、破産手続開始の決定を受けたときに、委任契約は終了します。委任契約は当事者間の信頼関係に基づいて成立するものであるから、当事者が死亡した場合は、委任契約は終了します。当事者が破産手続開始の決定を受けた場合は、当事者間の信頼関係が失われるため、委任契約は終了するものとされています。

受任者が後見開始の審判を受けたときにも、委任契約は終了します。この場合には、受任者が自ら委任事務を処理できなくなるからです。

実務では、財産管理等委任契約と併せて任意後見契約を締結することとしており、その中で、任意後見監督人選任の審判を受けたときに、委任契約が終了する旨の特約を定めています。本人の判断能力が低下している状態で受任者が財産管理を続けることは適切でないからです。

また、実務では、本人が後見開始の審判を受けたときに、委任契約が終了する旨の特約を定めていることが多いです。任意後見契約を締結していても、「本人の利益のため特に必要があるとき」には、法定後見開始の審判をすることができるので、この場合に委任契約を終了させるためです。

(司法書士・行政書士 三田佳央)