受任者の身上監護に関する事務としては、介護保険申請手続、要介護認定の申請、ケアプラン作成(通常はケアマネージャーが作成します。)、ケアマネージャーその他の関係者との相談、ケアプランの見直し、介護事業者の選択、介護契約の締結、適切な介護実施の見守り、必要な場合の事業者の変更手続などです。
また、介護保険だけではサービスが不足する場合には、実費でヘルパーに頼むことを検討しますが、ケアマネージャーとよく相談することが大切です。この方法は、経済的に余裕があれば選択できます。
自宅で一人暮らしの高齢者の場合、夜間などの緊急通報システムの利用が必要となります。受任者は自治体や社会福祉協議会などの緊急通報装置を利用することが多いようです。
身上監護の一環として、本人に生活費を届けることもあります。生活費があれば、ヘルパーに買物代行をしてもらって自宅で暮らせる高齢者は多いです。
本人の安否や心身の状態の確認も、身上監護の重要な要素です。定期的に本人を訪問して面会したり、本人を支援しているケアマネージャーやヘルパーなどに本人の状態を確認したりすることも必要です。
本人が病気になったときの医療契約や入院契約も身上監護に含まれます。医師の説明の際の立会いも身上監護に関する事務の一つです。
自宅で暮らすことが困難になったときに、施設の入所について相談にのったり、施設の見学の手配をしたり、必要があれば一緒に見学したりすることも身上監護の一環です。入所契約も身上監護の事務に含まれますが、本人に判断能力がある間は、本人自身が契約することが多いようです。受任者としては、本人と一緒に契約内容を確認したりアドバイスをしたりすることが有益でしょう。
(司法書士・行政書士 三田佳央)