財産管理等委任契約における受任者の事務

財産管理等委任契約の受任者の事務は、財産管理に関するものと身上監護に関するものがあります。受任者が行う事務は本人を代理して介護契約や施設入所契約を締結するなどの法律行為をすることですが、契約を締結する際の確認や準備など法律行為に付随する事務も含まれます。

財産管理に関する事務としては、通常は、①預貯金の管理・払戻し・解約・入金、②公共料金の支払い、③国民健康保険料・介護保険料の支払い、④固定資産税の支払い、⑤年金の受領、⑥高額介護サービス費・高額医療費の還付請求・受領、⑦自宅の家賃・地代の支払い、⑧保険契約・更新・保険料の支払い・保険金の受領、⑨菩提寺への布施の納付・墓地管理費の支払い、⑩自宅の除草・剪定の契約・その費用の支払い、などがあります。場合によっては、⑪アパートや貸駐車場の管理、⑫不動産の売買・賃貸借契約の締結、⑬不動産の増改築の契約・費用の支払い、⑭金銭消費貸借契約・抵当権設定契約の締結、⑮税金の申告手続きなどもあるでしょう。

身上監護に関する事務としては、通常は、施設入所契約・介護契約・医療契約の締結、②介護費用・医療費の支払い、③ケアマネージャーなど関係者から本人の状態についての聴取、④本人との面談・見守り、⑤生活費の送金などがあります。場合によっては、⑥医師との面会・症状の聴取、⑦施設の見学の手配・付添・体験・ショートステイの手続き、⑧役所に提出する書類の作成・提出などもあるでしょう。

(司法書士・行政書士 三田佳央)