任意後見監督人選任の審判手続

任意後見監督人選任の申立てがなされると、家庭裁判所において下記のような審理がなされます。

①本人の精神の状況を認定します。家庭裁判所は、本人の精神の状況につき医師等の意見を聞かなければ、任意後見監督人選任の審判をすることができません。

②任意後見契約の内容と登記の有無を調査します。

③任意後見監督人選任を妨げる事由の有無を調査します。

④本人の陳述の聴取をします。ただし、本人の心身の障害により聴取しまい場合もあります。聴取する場合には、任意後見契約の効力を生じさせること、任意後見監督人に選任される者についての意向を聴取します。

⑤任意後見監督人となるべき者の意見を聴取をします。

⑥任意後見受任者の意見を聴取します。

なお、任意後見監督人選任の申立ては、審判がなされる前であっても、家庭裁判所の許可を得なければ、取り下げることができません。

家庭裁判所が、任意後見監督人を選任するには、自己決定を尊重するため、本人以外の者が申立てをしたときは、原則として本人の同意が必要です。

家庭裁判所は、申立てが適法であり、任意後見監督人を選任するのが相当と判断したときは、申立てを認容する審判をします。申立てが不適法であるか、任意後見監督人を選任することに理由がないと認められるときは、申立てを却下する審判をします。任意後見監督人を選任する審判は、本人、任意後見受任者、任意後見監督人に告知されます。

任意後見監督人を選任する認容審判に対しては、任意後見監督人に告知することにより、審判の効力が生じます。即時抗告ができる旨の規定がないからです。これに対し、任意後見監督人の申立てを却下する審判に対しては、申立人は、即時抗告をすることができます。即時抗告の期間は、告知を受けたときから2週間です。

(司法書士・行政書士 三田佳央)