任意後見契約として委任できない事項

任意後見契約の委任事務の内容としては法律行為に限られ、事実行為は含まれません。そのため、本人を介助(食事介助、入浴介助、排泄介助)は任意後見人の職務ではありません。もし、親族を任意後見受任者とする任意後見契約を締結し、その親族に本人の介助を委託したい場合は、代理権目録に介助に関する行為を記載せず、契約書の本文にその定めを記載することになります。

また、任意後見契約は代理権を付与する委任契約であることから、本人の死亡により終了するため、死亡後の事務は含まれません。死亡後の事務を委託した場合は、介助に関する行為と同様に契約書の本文にその定めを記載したり、任意後見契約とは別に、死後事務委任契約を締結したりすることになります。

本人の一身に専属した権利(遺言、婚姻、認知、扶養請求権など)は代理人による権利行使に親しまないので、任意後見契約の委任事項とすることはできず、任意後見契約と別の契約としても締結することはできません。調停や審判の申立て。訴訟等の手続きに関する事務の委託は可能であるとされています。

医療契約に関する事務は、任意後見契約の代理権を付与する委任事項に含まれますが、医療侵襲行為(手術をすることへの同意など)に対する同意は、任意後見契約のおける委任事項とはならないため、任意後見人の職務とはなりません。

(司法書士・行政書士 三田佳央)