後見開始の審判手続きの流れ

後見開始の申立書を管轄の家庭裁判所に提出すると、審判手続きが開始されます。審判手続きが開始すると、本人や申立人と面接するために、家庭裁判所から連絡があり、期日の日程を調整します。この面接を受理面接といいます。受理面接の期日が決まったら、呼び出しを受けた本人や申立人は、家庭裁判所に出頭します。出頭した本人や申立人は、参与員や調査官から詳しい事情を聴取されます。参与員は、申立てに至った経緯などについて聴取します。調査官は、申立てについての本人の意思を具体的に確認します。保佐や補助の場合には、代理行為目録の一つ一つの項目について、本人の意思を確認します。参与員や調査官による面接の仕方は、家庭裁判所や事案ごとに異なります。参与員が面接した後に調査官が面接するケースもあれば、調査官のみが面接するケースもあります。前者のケースでは、参与員の質問と調査官の質問が重複してされることがあるため、面接の時間が長くなる傾向があります。面接の時間は概ね1時間程です。本人の体が悪いなどで家庭裁判所への出頭が困難な場合には、調査官が本人の自宅などに訪問して面接をします。

保佐人の代理権付与の申立て、補助開始の申立て、補助人の同意権付与の申立て・代理権付与の申立てについては、特に本人の意思を尊重しなければならないので、本人の意思は慎重に確認している傾向にあると思われます。

後見と保佐の場合には、家庭裁判所が必要であると判断したときは、精神状況について鑑定をすることがあります。

家庭裁判所は、申立書や添付書類などの書類や、受理面接で聴取した事項などを基に、審判の内容を決定します。申立てどおりに審判が決まることもあれば、類型を変更するための趣旨変更の申立てをするように促されることもあります。また、後見人等の選任するのは家庭裁判所の職権なので、申立書に後見人等の候補者として記載された者以外の者が後見人等に選任されることもあります。特に本人の親族を候補者にすると、弁護士や司法書士などの専門職が後見人等に選任されることが少なくありません。実際に、専門職が後見人等に選任されることが7割以上となっています。これは、家庭裁判所が、親族同士の関係や事情を考慮して親族間でのトラブル等を懸念してのことではないかと考えられます。