後見開始の審判手続きの終結

後見等開始の審理が終わると、申立てに対しての審判がなされます。要件を満たしていれば後見等開始の審判がなされ、併せて、後見人等の選任、同意権や代理権を付与する審判など必要な審判がなされます。審判がなされると、家庭裁判所から、本人、申立人、後見人等に対して、審判書が送付されます。審判書には、本人に関する情報(本籍、住所、生年月日、氏名等)、申立人に関する情報(氏名等)、後見人等に関する情報(住所、氏名等)が記載されます。同意権、代理権を付与する審判がなされたときは、審判書には、同意行為目録や代理行為目録が記載されます。

審判書の送付をもって審判が告知されます。審判の告知がなされてから2週間が経過すると、その審判が確定します。審判が確定すると選任された後見人等は、正式に就任することになります。2週間の起算日は、審判書が到達した日です。保佐と補助については、本人に到着した日が起算日になりますが、後見については、本人への到達した日ではなく後見人に到着した日が起算日となります。後見類型の場合は、本人には判断能力を欠く常況にあるため、本人には審判が告知されず、通知されるだけだからです。

この2週間の期間が経過するまでに、申立人を除く申立権を有する者は、申立ての審判に対する不服申立てとして即時抗告をすることができます。後見人等の選任に対しては即時抗告をすることができません。また、申立てを却下した審判に対しては、申立人のみが、即時抗告をすることができます。

家庭裁判所書記官は、後見開始の審判が効力を生じた場合には、遅滞なく、登記所に対し、後見登記の嘱託をしなければなりません。実務では、各地の家庭裁判所書記官は、東京法務局に後見登記を嘱託することになります。後見登記が嘱託されてから、1週間から10日で後見登記等ファイルに記録されて登記が完了し、その後、1週間から10日後に、家庭裁判所書記官から、登記完了と登記番号が、後見人等に通知されます。

なお、後見等開始の申立ては、家庭裁判所の許可がなければ、取り下げることができません。申立人が、思い通り後見人等が選任されなさそうなどということを理由に、申立てを取り下げることを禁止するためです。実務では、受理面接の際に、申立てをした本人が翻意して後見制度の利用を拒絶したときに、家庭裁判所に取下書を提出して、家庭裁判所がその取下げを許可することがあります。

(司法書士・行政書士 三田佳央)