家族信託とは5

信託の関係者としては、委託者、受託者、受益者、信託管理人等(信託管理人、信託監督人、受益者代理人)がいます。このうち、委託者、受託者、受益者が信託の当事者となります。また、委託者と受託者は、信託行為の当事者と呼ばれます。

信託では、委託者、受託者、受益者は、それぞれ別個独立の存在ですが、委託者と受益者が同一人であり、委託者=受益者と受託者の2者のみで設定される信託もあります(自益信託といいます)。また、委託者と受託者が同一人である信託も現行法上は認められています。これに対して、委託者と受益者が同一人である信託は現行法上は原則として認められていませんが、例外的に認められる場合があります。

委託者は、自らの財産を信託財産として拠出するとともに、信託行為を通じて、当該信託の目的設定を行うことになる者です。委託者は、自らの財産を拠出する地位にあるため、信託終了時の残余財産の帰属権利者とされています。

また、委託者は、信託の目的設定を行う地位にあるため、信託目的そのものに重大な影響を及ぼすような行為については、委託者の関与なしに行うことができないように配慮されています。

遺言信託の場合において、委託者が死亡しても、その地位は相続されないのが原則です。遺言者である委託者の相続人と受益者との間には利害対立の懸念があるからです。ただし、信託行為に別段の定めを置いて、相続させることは可能です。遺言信託以外の信託に関しては、委託者の地位は相続により承継されることになります。

(司法書士・行政書士 三田佳央)