家族信託とは4

信託の設定は契約によってなされることが多いが、遺言によって信託を設定することができます。これを「遺言信託」といいます。遺言信託は、委託者の死後における財産管理を目的とするときに活用することができます。そのため、遺言信託の効力は、委託者が残した遺言の効力が発生によってその効力を生ずるとされています。遺言信託を利用することによって、委託者の死後に長期にわたり確実な財産管理と、受益者に対して確実に財産的利益を確保することができるようになります。例えば、夫が委託者として遺言信託をしてから死亡した場合には、受益者(妻や障害をもつ子)への確実な生活費等の給付を確保することができます。ただし、遺言信託をするには、厳格な遺言の方式に関する規定に従って遺言を作成しなければなりません。遺言信託は、遺言による財産の処分行為に当たるからです。

厳格な遺言の方式により信託を設定することを回避しつつ、委託者の死後に財産管理・処分を可能とする方法として、「遺言代用信託」があります。遺言代用信託とは、①委託者の死亡を始期として、信託から給付を受ける権利を取得する受益者(死亡後受益者)について、委託者の死亡時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めがあるか、または、②委託者の死亡時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めがある信託のことです。例えば、①委託者自身を受益者とし、委託者が死亡したときは死亡時受益者である配偶者や子に生活費等を給付する場合や、②委託者の配偶者や子を信託設定時に受益者とするが、委託者が死亡した時以後に受益者である配偶者や子に生活費等を給付する場合などです。

遺言代用信託は、遺言による財産の処分行為ではないため、契約によって信託を設定することになります。 遺言信託は遺言であるため自由に撤回することができるのに対し、遺言代用信託は契約であるため自由に撤回することができません。このため、遺言代用信託は、確実に遺産を承継させたいときに利用されています。

(司法書士・行政書士 三田佳央)