不動産に関する共有関係の解消の実務1

不動産を共同所有するに至る経緯はいくつかあります。複数の相続人が遺産である不動産を共同相続する場合、親が不動産を子に生前贈与する場合、夫婦で不動産を購入する場合などです。不動産を共同所有しているということは、様々な制約を受けていることになります。例えば、その不動産を一時的に賃貸するには、持分の価格の過半数の同意がなければできません。その不動産について増設工事をするには、共有者全員の同意がなければできません。その不動産を売却するには、共有者全員の同意がなければできません。その不動産全体に抵当権を設定するには、共有者全員の同意がなければできません。その不動産に関する費用を特定の共有者が負担しないとトラブルになることがあります。また、共有者のうちの一人に相続が開始すると、共有者の人数が増えて共有者の関係が複雑になってしまうこともあります。

このように、不動産について共有関係にあると、様々な不都合が生じます。それが原因となって紛争に発展することも少なくありません。そうなる前に、不動産の共有関係を解消することについて検討されることをお勧めします。不動産の共有関係を解消する方法について、順次説明していきます。

(司法書士・行政書士 三田佳央)