所有者不明土地の利用の円滑化と民法改正3

相続が開始したときは、遺言書がある場合を除き、相続人間で遺産分割協議をする必要があります。その際には、被相続人が生前に様々な理由によって特定の相続人に金銭等を贈与していたり、特定の相続人から被相続人に対して、様々な方法によってその財産の維持・増加させたりしたという事情があれば、これらの事情を考慮したうえで、具体的な相続分を計算することになります。前者を特別受益といい、後者を寄与分といいます。しかし、相続人間で遺産分割協議が成立せずにそのまま放置されてしまうと、上記のような具体的な事情を証明する証拠を確保することが難しくなり、その遺産の共有状態を解消することが困難になってしまいます。

そこで、令和3年の法改正によって、相続開始から10年が経過したときには、特別受益や寄与分を考慮することなく、遺産分割協議をすることができるようになりました。これによって、遺産分割協議が長期間なされていない状態を解消することが期待できます。ただし、相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求したときは、特別受益や寄与分を考慮されることになります。この改正法は、令和5年4月1日から施行されます。