本人が死亡した場合における成年後見人の事務1(総説)

成年後見人の任務は本人が死亡したときに終了します。成年後見制度は本人の存在を前提としているからです。成年後見人の任務が終了した場合には、終了後の事務を遂行することになります。

成年後見人の任務が終了したら、家庭裁判所に成年後見が終了した旨を報告します。

次に、成年後見人の任務が終了したときから2ヶ月以内に、成年後見の事務の計算をすることになります。その計算が終了したら、その結果を相続人に報告するとともに、家庭裁判所にも報告します。第三者の成年後見人は、この段階で報酬付与の申立てをします。

また、指定法務局に対して成年後見終了の登記を申請します。ただし、成年後見の任務の終了後の事務を遂行するにあたり、後見の登記事項証明書の提示を求められることがあるため、この登記を申請するタイミングには注意した方が良いでしょう。

成年後見人の任務が終了したことにより、本人の財産を保管する権限を失うため、相続人等に管理している財産を引き渡さなければなりません。それまでは成年後見人が事実上財産を保管することになります。法定相続人が存在しなかったり、法定相続人全員が相続放棄したりした場合には、家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立てをして、そこで選任された相続財産管理人に管理している財産を引き渡すことになります。

このような流れで、相続人等に管理している財産を引き渡したら、成年後見人の事務は終了です。本人が生前負担していた支払義務や、遺体の引き取り、葬儀の手配等については、相続人等が対応することが原則ですが、実務上は多くの問題が孕んでいます。