成年後見人は本人の財産に関する契約などの法律行為について包括的な代理権を有します。医療・診療契約や介護サービスに関する契約などの身上監護に関する法律行為についても、費用の支出などで財産に関するものといえるので、代理権を有することになります。この代理権を行使する際には、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態および生活の状況に配慮しなければなりません。
このように成年後見人は本人の財産に関する包括的な代理権を有するので、成年後見人の本人のためにする行為は代理行為としての性質を有することになります。代理とは、本人と一定の関係にある他人が、本人のためにした法律行為の効果を本人に帰属させる制度です。本人の同意は不要です。
介護サービスの契約をしたり、介護施設の入所契約をしたりするときに、契約書に本人の印鑑を押印するように求められることがあります。しかしながら、成年後見人は本人の代理人であり、成年後見人が本人のためにした法律行為の効果は本人に帰属するので、本人の同意は不要であり、本人の押印も不要です。
ケアマネージャーが作成するケアプランや利用表の確認を、本人だけでなく成年後見人も行います。契約に伴う諸手続きを行うことも契約の履行の一環だからです。ただ、本人の意思を尊重するため、本人の同意が必要となります。