成年後見制度を利用するきっかけ2

認知症等により判断能力が低下していて、適切な財産管理ができていない高齢者には、成年後見制度を利用することが考えられます。

適切な財産管理ができていない場合とは、例えば、各種健康保険料や固定資産税等の税金の納付を滞納している、介護施設の利用料等の介護サービス利用料が未払い、不要な物を購入したり不要なサービス利用の契約をしたりしている、などです。

各種健康保険料を滞納すると、保険証の交付されなくなって保険診療が受けられないため、医療費を10割負担で支払わなければなりません。また、各種健康保険料や税金を滞納し続けていると、所有不動産等の資産を差し押さえられてしまいます。

介護サービスの利用料を支払わないままでいると、介護サービス利用の契約が解除されてそのサービスを利用することができなくなります。

不要な物を購入したり不要なサービス利用の契約をすることを続けていると、今後の生活に必要な財産を失うことになり、介護サービスを利用しようとしたり介護施設に入所しようとしたときに、財産がなくてそれらのサービスを利用できなくなるおそれがあります。場合によっては、生活が困窮してしまうこともあります。

成年後見人には、本人に代わって本人の財産を管理する権限が法律により認められています。このようなケースで成年後見人が付いていれば、すでに税金等の滞納があれば、役場の担当者と協議して納付計画を立ててそれに従って納付しますので、保険証が交付されて保険診療を受けることができますし、資産を差し押さえられることもありません。

介護サービスの利用料が未払いであっても、事業所と協議して未払いの利用料を計画的に支払いますので、介護サービスを利用し続けることができます。

また、成年後見人には、本人がした契約を取り消す権限が法律によって認められていますので、本人が不要な物を購入したり不要なサービス利用契約をしたとしても、成年後見人がその契約を取り消して本人の財産を守ることができます。

それだけでなく、本人が生活に困窮しているときには、生活保護等の行政サービスを利用するための手続きを、成年後見人が本人に代わってすることができます。

このように、判断能力が低下していて適切な財産管理ができていない高齢者に成年後見人が付いていることによって、本人の財産を守ることができ、安心して日々の生活を送ることができます。